琉莉派

どうか最後まで読んでほしい
私は感想コメントをほとんど書きません。感動した作品にはページコメントで賞賛の言葉を記しますが、感想・レビューを残すことはしてきませんでした。 しかし、この作品に関してはどうしても書かずにいられません。 それは、本作が大変素晴らしい小説であることはもちろんですが、このままでは人目に触れずに終わってしまうのではないかと危惧するからです。 最初読み始めた時、何の話かよく分かりませんでした。だらだらとコメディー調の会話がつづいていくだけの物語なのだろうか。ガサツな母親と息子の日常を記したドタバタ劇なのだろうか。だとしたら長編で読まされるのはキツイなと思い、何度も読書を中断しようとしました。 しかし、我慢して読み進めるうち、物語はまったく違った様相を見せ始めるのです。作者が本作に込めた深い意図が次第に明らかになるにつれ、切なさが込み上げ、涙腺が何度も緩みます。気づくと作品世界にどっぷりはまっていました。最後の三十ページくらいは一気読みです。 オリジナリティに溢れ、人間描写にすぐれ、作者の思いがぎっしり詰まった、驚くべき作品です。 読者を選ぶとは思いますが、「大人」な読者であれば、この物語にきっと心打たれるはずです。どうか最後まで、読んでみてください。
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