西松清一郎

ふんわりとした家庭物語
現代の家庭が孕む問題に切り込みつつも、そこにそっと、それこそオムライスのように優しいベールを覆う、ふんわりとした家庭物語。 主人公理沙の父のような親を持つ人は多いはずです。しかし、叔父のような逃げ道とも言える存在を持つ人はぐっと減るでしょう。 6ページの叔父の言葉は、傷ついた現代人の心に、まるでカテーテルのように突き刺さります。そして、その先からはそれまで耐え続けて溜めてきた、悲しみ、憤り、もどかしさといった感情がない混ぜになり、一気に噴出するでしょう。 よく家庭は密室と言いますが、どうしてもストレスのはけ口になってしまう弱者には、本作の叔父のような、ときに辛辣な言葉を吐きつつも、波一つ立てない泉のようにそばにいてくれる人物が必要なのかもしれません。 ただ一つはっきり言えることは、理沙が叔父のもとにいなければ、この優しいオムライスはできなかっただろう、ということです。
1件・1件
深々とお読みくださり、誠にありがとうございます!すごく素敵で丁寧な感想、本当にありがとうございます! 嬉しいです! 私が言うべきことは何もないな(笑)本当に嬉しい……楽しんでいただけたなら何よりです!すごく嬉しい(笑)
1件

/1ページ

1件