六葉翼

愛は目に見えないけれと
空気ではない。私もあなたへの愛も。ただ目に見えないだけ。私は以前に黒江うさぎさんの【鎮魂祭】という作品を読ませて頂きました。読者と、主人公と、今は亡きヒロインの女の子の間で「呪い」というワードが様々な解釈で行き来する。そんなお話だと思いました。そして、本作は一歩通行の愛ではありません。お互いにお互いを深く思いながら。主人公の気持ちは、夫である相手には伝わりません。やはり死者と生者は共に暮らせないのか。主人公の思いや言葉が届く時。彼は、彼女と同じように命が尽きているのか。それを、世間では障りとか呪いとかの言葉で括ろうとする。でも、どんな縄でも、常識でも、括れないのが愛です。それは、彼が彼女の姿を見て声を聞いて…涙をながしたり微笑んだり。「やっと会えたね」と抱き合ったり。「あなたのせいじゃない」と伝えたいと思う、主人公の言葉を聞いたり。彼と、彼女に訪れる、幸せな時間を思えばこそ。二人にしか辿り着けない場所。短くもとても奥深い作品だと思います。
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