西 東

なんだこの緊迫感……。
最高を頂くためには、それなりの作法があると確かに思います。 この物語ではゆで卵。 好みの固さや味付けは人それぞれ。 主人公が愛するのは母親のゆで卵。 それを最高の状態で食す為に吟味するあらゆる条件が最初は可笑しくて笑っているのに、余りの真剣さ、真面目な考察、一つも妥協を許そうとしない息詰まる行動に、何時しか息を潜めてしまいました。 つるんとした卵の表面に、今か今かと振り掛けられる塩を物凄く真剣に想像させられた所からの弛緩に再び笑って、そしてウン、そうだよねと納得するオチにも笑わせられました。 最後に、拝読するとゆで卵を作りたくなる作品ですね。

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