【コメント】戦場のヴァイオリニストは戦場に何を求めるか

太陽のヴァイオリニスト

戦場のヴァイオリニストは戦場に何を求めるか

作者らしく淡々と語りながらも、熱い魂のこもった人間讃歌。戦場のヴァイオリニストは、戦争という本来似つかわしくない場所において、今の世の中を暗示した危機的状況において、平和のための詩歌を奏でる。ワーグナーの「ニーベルングの指環」に登場する戦乙女の歌は、ナチス・ドイツにまさに戦争の道具として利用されてしまった歴史があります。歌や曲、優れた芸術作品には力があります。その力を悪用する者もいます。戦乙女の歌う戦争の旋律を平和への願いの、太陽の歌へと昇華する戦場のヴァイオリニストは、今まさに求められている真のヒーロー像です。世界中に平和の讃歌が鳴り響くことを切に願います。