布原夏芽

争いの連鎖を断つには
 国家機密であるはずの軍事を軍学校という形で公開し、国を跨いで学生を招き入れるほど平和だった世の中が、転がり落ちていく様子が苦しかったです。天災によって特定の国に被害が出たとき。支援の手を差し伸べるのか、自分たちが優位に立つ好機と見るのか。そこが大きな分かれ目なのだと思いました。  ハリーも言っていたけれど、命が生まれるかぎり憎しみは続くのでしょうね。中盤、暗殺された上層部にも家族がいれば、愛する者を殺されたことになります。最小限の犠牲ならいいのか、と考えながら読みました。  最後の場面で舞い落ちた青い花びら。この後どうなったかは読み手の想像次第だと思うのですが、序盤でハリーが「眠らせれば殺さずに捕虜にできる」と言ったのが思い返されます。三人の絆から、殺さずに済むけじめのつけ方が生まれるかもしれない、と希望を感じました。  でもやはり大々的な戦争を終結させるには、わかりやすくトップの首を取るしかないのかもしれない。苦痛を与えないよう眠らせた上でハリーは旧友二人に殺されるのかもしれない。そうしたらハリーの身内はどう思う?本当に争いは終わる?文明と倫理の成熟した世界でもなお起きる、憎しみの連鎖を断つ方法はあるのか案じてしまいます。  戦争という重いテーマを真正面から扱っていながら、短編でコンパクトにまとめたからこそ、行間で様々なことを考えさせられる作品になっていると感じました。
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布原さん!ご感想ありがとうございます!うれしい気持ちと、とても自分のためになるお言葉をたくさんいただきました♪ まず、ラストの花びらのことについて考察していただいたことが、とても嬉しいです! ページコメントを読むと、みなさんここには、あまり触れておられなかったので(笑) この先は、あえて読者の方に委ねる形にしてみました。(そのため、ナイフを出しただけで、命を断つようなシーンは書きませんでした) かなり前の方に張った伏線まで気付いていただき、ありがとうございます(^^) あの…余談ですが、これ、実は布原さんの、その先を想像させるようなラストに憧れていまして。 僕はまだまだ遠く及びませんが、挑戦
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ラストシーンのことは深読みかなと思いつつ書いたので、考察として成立していたのならよかったです(^^)/ 私の作品が多少なりとも影響していたなんてびっくりです! でも私の場合は、話が落ち着くところまで書き切る筆力がなくて投げている気もするので、良いのかどうか💦笑 私は桜井さんの作品の、キャラクターたちが心身ともにダイナミックに動いた末に、感動の終幕に向かっていく書き方に憧れます。 以前『SHOOT!!』を読んだときにも感じたアクションの生き生きした描写。それに加えて今作では、戦争という難しい主題が含まれており、自分の力量では扱えない世界を読みながら学ばせてもらいました。 何を行っても正しくな
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