蒼月 友

一つの理由
耽美的な文章で綴られた、悲しくも美しい物語でした。 「命とは何なのでしょうか」という主人公の自問が痛烈です。 自分が生きていく事で、記憶の中の存在を世界に繋ぎ止めたいという思い。 自分が死んでしまっても、愛する人には生きていてほしいという思い。 物語の終盤。そんな二つの命が呼応することで生まれた奇跡の光景に、心が震えました。 幸せを抱きしめることも、喪失を受け入れることも、自分自身が生きているからこそ出来ること。 人が未来を目指さずにはいられない、一つの理由に気づかせてくれる、素敵な作品でした。
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