夏時間

甘子と蜜子 彼女が入ってくると、いつも教室に冷たい風が吹いてくる。甘子はその風を都会の風だと感じていた。その彼女は蜜子という名の最近転校してきた子だ。噂によると蜜子は東京の中学に通っていたが、札付きのワルだったためにこの東京近郊の中学に強制転校させられたらしい。今教師に説教を受けている彼女の態度を見るとその噂は確かに正しいのかもしれない。ダルそうに教師の前に立つ蜜子。彼女は教師の説教に適当に返事をして最後にもういい?授業の時間の無駄でしょ?なんて言って怒る教師を無視して自分の席へと向かう。甘子はその蜜子を見てカッコいいと思った。その短く切った髪。そのシャープな輪郭の中に光るリスのような黒い目。その背の高いスタイルのいい体。何もかもが自分たちと違っているように見えた。
4件

この投稿に対するコメントはありません