まさみ

「そういえば今日キスの日だっけ」 鳩に手乗り芸を仕込もうと頑張っていたピジョンが振り向く。 「誰が決めた」 「俺が今」 「そんなこったろうと思った。却下」 「まだなんも言ってねえしやってねえ」 「ヤるの前提でどうせスケベな事考えてるんだろ」 当たり。 「ハトとお喋りするより俺と遊んだほうが有意義な時間過ごせるぜ」 「構ってほしいアピールかよ。だったらもっと可愛くねだれ、お前に遊ばれるよりもハトを手懐けてる方が生きる喜びを感じるね」 気配を消して忍び寄り不意打ちでうなじをかぷりと甘噛み。 「ぁっ、」 切ない声に気をよくし、シャツをめくり上げ脇腹をまさぐる。 「俺の餌は?」 「何が欲しいんだよ」 「お前」 「俺は食べ物じゃない」 襟足に顔を埋めて軽く皮膚をはむ。 ピジョンがくすぐったげに身をよじるのにあわせハトが飛び立ち、アパートの窓辺で笑い声が弾ける。 「やめろってスワロー、ああ逃げちゃったお前のせいだぞ」 「帰巣本能ねェ薄情者はほっとけ」 「わかった、遊んでやるよ」 わがままで欲張りな弟の首の後ろに手を回し、至近距離で目を覗き込む。 「忘れてた」 一旦離れて窓を閉めカーテンを引く。 「ビビリめ」 「うるさい」 「バレてもかまわねーじゃん別に」 「外出歩けなくなる」 視線と視線が熱っぽく絡まり、唇と唇がじれったく近付いていく。 「ストップ」 寸前で人さし指を立てぶにゅりと唇を押し返す。スワローが変顔でむくれる。 「ンだよ」 「ちゃんといただきます言え」 「食い物じゃねえのに?」 「おかわりさせてやんないぞ」 悪戯っぽく微笑んで唆せば、降参して肩を竦める。 「……いただきます」 「よろしい」 満足げに許可を出し、ピジョンは弟を迎え入れた。 スワローのキスは煙草の味がした。これも受動喫煙に入るのかな、とピジョンは思った。
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控えめに言って最高すぎる笑 この2人の絡みが一番好き❣️ ありがとうございます😭
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ありがとうございます!
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