山井縫

本当に怖い物は
突然の眩暈にさそわれて主人公は不思議な世界に誘われる。 そこで出会ったこの世ならざる者にされる意外な相談。 文章の配置、並びに工夫が凝らされていてテンポよく読めました。 内容は最後までよめばほほ笑ましいと言えるものですが、 しかし、ここに描かれているテーマは現代に於ける怪異の位置づけを 端的に表しています。不思議なことは科学で説明づけられ、夜はあちこちに明かりを灯され、この世界から日増しに「闇」は減り続けていく。 真に怖いのは人の世の進み方かもしれません。 でも、案ずることはないのです。明かりが灯れば必ず陰ができる。 この作品にあるように、消えかけている怪異もまた形を変えて残るのでしょう。

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