雪静

里野彰良について 両親は公務員で、兄と妹がいます。高校生の頃は将来を期待される野球選手と呼ばれ、スポーツ推薦でY大学に入学。しかし膝に怪我を負い、選手生命を絶たれてしまいます。学費は両親が出してくれたので退学することはありませんでしたが、人生の目標を失った彼はそこからどんどん内向的になっていきました。 両親は彼に「走らずに済む」「鍛えた腕の力を使える」という理由で、二年次から弓道部への入部を薦めます。言われるがまま入部した里野ですが、独特な道場の雰囲気や、思うように活躍できない苛立ち、そしてかつての栄光に二度と手が届かないという現実に疲弊。はじめこそひと気のない時間に練習を頑張っていましたが、次第に道場や弓道部から距離を置くようになります。(この頃、諸般の事情で人のいない時間を狙って道場へ来ていた百合香と知り合い、それなりに親しくなります。) 就職活動の際は、公務員である両親や官僚となった兄を見習い、里野自身も公務員試験を受けることを決意。しかし試験勉強をする気にならず、結局はさほど勉強をしなくても合格できそうな警察官の道を選びます。 怪我による挫折から止まることなく堕落していった里野ですが、彼の両親や兄、そして後に国家公務員となった妹は、あくまでも彼に優しく接しました。常に気を遣い、彼を支え、いつも変わらず励ましてくれていたのです。その優しさこそが彼を劣等感の渦に追い込み「どれだけ助けてもらっても何も成し遂げられないダメ人間」という劣等感を育みます。そしてこの劣等感は、「俺はダメ人間だから周りの人は俺を支えてくれるべきだ」という歪んだ自己評価へと繋がっていったのです。

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