小原瑞樹

大河の箱舟で少年が見たものとは。
 冒頭から目を引く美しい情景描写。赤土色の地面や大地を横断する川など、ありありと浮かぶインドの情景が作品世界へと引き込んでくれる。  少年ラジが乗せられたのは死者が集う箱舟。同乗者は思い思いに過去を語り、自らの『やり残したこと』について思案を巡らせる。  ラジにとっての『やり残したこと』、それは自分を憂き目に合わせた男への復讐であった。同乗者の話を聞いてもラジの復讐心は微塵も揺らがないが、娼婦の少女エトラのある行動を機に、自分が本当に過去に残してきたものの存在に気づく。  まるで自分が箱舟に乗っているかのような不思議な浮遊感を味わえる、読者を神秘的な世界へと誘ってくれる作品です。
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小原瑞樹さま このたびはお読み下さいましたうえ、すてきなレビューを寄せていただき誠にありがとうございます! 飛び上がって喜んでおります。 >ありありと浮かぶインドの情景が作品世界へと引き込んでくれる。 本作を書くまで、現代日本の日常を舞台にした物語しか書いたことがなかったので、 本作では挑戦や練習といった意味合いがありました。ですので、このお言葉は非常に嬉しいです。 重ね重ねお礼申し上げます。ありがとうございました。
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