初めの一歩

壁の穴から覗き込むような名作
 説明書きだけ読むと、何やら淫靡な雰囲気が漂ってくる。しかも、過激表現のある恋愛ジャンルの作品。初めてこうした小説の書評を書くことになる。けっこう、冒険! 大丈夫なのだろうか?  読み進むにつれ、さっそくディープで怪しげな舞台が登場する。ひとりでは生きてゆけず、大切なものを模索しながらも心の闇を捨てきれない若い男女。寂しくあり身体を重ねながら短い時間で他人に戻ってゆく一見ふしだらな関係。正直すぎるあまりに自分を見失う青春。若者たちの冷ややかな汗を感じる作品です。  ところが、何処からかさめた視線、『壁の穴』から覗き込むように、激しく剥き出しの感情をしっかりと言葉で掴んでいる。 過激な作品ではありますが、敢えて繊細で複雑な抑えた描写で描ききっているのでいやらしさはありません。  かえって、激しい雨、狭い閉鎖空間、若い男女ならではの息遣い、湿った空気なのに乾いた心地よい風を感じ、ふたりのやり取りが自然と胸落ちしてくるのに驚いてしまう。  まるで青春の蹉跌を語るノスタルジックな映画のワンシーンを観ているか如くの錯覚さえ覚えてしまう。ひとつひとつの文章は簡潔でテンポが良い。この先、ふたりの生きざまが気になる初めの一歩でした。
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初めの一歩さま 心のこもった丁寧なレビューをありがとうございます!! 一字一字、掬い取るように読んで下さったことが伝わってきます。 青春や若さを持て余すやり場のなさ、手の届かない存在や憧れ、刹那の温もり、そんなものを凝縮したいと思って書いた作品でした。 わたしにとって懐かしく感じる引用を散りばめていますので、ノスタルジックな映画のよう、と言っていただけて嬉しいです✨ ありがとうございます!
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失礼とは承知しながら書いておりました。本編では動画も作成しています🙇本当にごめんなさい🐤 公開日決まりましたらまたご案内させてください。

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