「夏の夜」 クリスマスの夜。 神社の境内に一人。 疲れ果てた様子の青年が座っている。 その彼の前に、サンタクロースが降り立った。 「クリスマスに、なんでそんな不景気な顔をしているんだい」 「時期は関係ないさ。僕は半年前からこうさ。 そう、彼女が消された半年前。 あの、夏祭りの夜から僕は、ずっとこうしている」 「なるほど、では、きみにクリスマスプレゼントをあげよう」 サンタの言葉に、男は顔をあげた。 「君をその夏の日に、一度だけ送ってあげよう。 時間は十分。君の手でその不幸な過去を覆してごらん」 そう言って、サンタが指を弾くと、男は半年前に飛ばされてしまった。 そして、10分後。 サンタの前に、晴れ晴れとした顔で男が帰ってきた。 全身をどす黒く、赤い、血液にまみれさせて。 「ありがとう。サンタさん。 おかげで他の人に消される前に、彼女を僕の手で消すことができた」 笑う男をおいて、サンタクロースはそりに乗って夜空へと舞い上がった。 さあ、こどもたちに笑顔を届けに行こう! アーハハハッハハッハハハハッハハハッハハハハハッハハハハハハハ!

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