遥奏多

うまく言い表せないけれど、間違いなく好きな終わり方
この短い話で多くのことを考えさせられる作品でした。主人公の自殺や、AIの機能やその扱いについてなど。 AIの人権などは多くの作品で扱われている題材ですが、遺族になるかどうか、とはあまり見ない視点で興味深いです。 また、これはこの作品を通して伝えたいことではなかったのかもしれませんが、個人的にはAIが何をもって「壊れている」とみなされるのか、に視線が向きました。イアが主人の死を受け入れられず同じ質問を繰り返したことを「エラー」として片付けていいのか。また、イアが「壊れている」と判断されたのなら、生きる理由がないことを理由に死を選んだ主人公もまた、壊れていたのではないか。 主人公が生かされていたのは人間だったからで、イアが捨てられたのはAIだったから。そう考えると、生きる理由のない人間とそもそも生きていないAIに、一体なんの違いがあるのだろうとすら思えてしまいます。 そして、主人公が壊れた理由も、イアが壊れた理由も、全ては同じ理由だとも思えます。自分の生に意味を見出せず、日々少しずつストレスを重ねていった主人公と、主人のために生まれたAIがその主人に先立たれ、答えのない問いを重ね続け負荷という名のストレスを急激に溜めていったイア。 同じ部分を見つめることで、両者の違いを考えさせられる、とても良い作品でした。
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遥奏多さま、この度は拙作をご覧くださり、またこのような素晴らしいレビューをお寄せくださりありがとうございます。 非常に興味深い視点ですね…私には無い着眼点だったので、何度も読み返して考えていました。 確かに、エラーを起こしているという点では主人公も同じですね。そうすると今度は、「壊れているとされたものを他者が一方的に廃棄していいのか」という問題に辿り着きました。生き物で考えると恐ろしいことだけど、野生動物ならば群れのためにと時に為される選択だし、それをしないのが人間だとするならば、じゃあAIは捨ててしまっていいのか……と問題が次々に立ち現れます。 人間を人間たらしめる(特別扱いを許す)ものは

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