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A Thorny Path ( Atto Ⅱ)
伊東いろはす
2022/7/31 23:41
シリーズの第2幕。ますます目が離せないこと間違いなし!
こちらの作品(AttoⅡ)は、電磁波災害により電気の著しい使用制限を受ける世界で繰り広げられるSFミステリー、ATPシリーズの第2幕です。 作品そのものが壮大なスケールかつ登場人物の一人ひとりに細やかな背景があって、各キャラクターが精巧に掘り下げられている群像劇作品です。したがって、感じたことすべてを語るのは至難を極めます。そのため、ここでは私個人が最も印象深いと感じた観点で、レビューを書かせていただきたいと思います。 作者様はシリーズを通して《何の、そして誰のために生きるのか》というテーマを掲げて作品を描いていらっしゃいます。第2幕ではその核心への距離が一気に近づいたように感じました。 本作は第1幕以上にスリリングで、裏切りや駆け引き、登場人物それぞれの思惑にその都度息を飲む展開となっております。その成行きは時として痛ましく、悲しいものとなることもありました。また、作中では複数名の人物がそれぞれ何らかの形で命を終える局面があります。その場面は衝撃だったり悲痛だったり、その形に合わせた余韻を読者の心に残します。 しかし、それは決して単なる後味の悪さではありません。むしろそうした場面があるからこそ、人物の生き方そのものについて考えさせられます。その時に《何の、そして誰のために生きるのか》という視点で各人物を捉えると、より深い人間味が垣間見え、「この人(達)についてもっと知りたい!」とある種の親しみのような情を覚える自分がいました(ちなみに、個人的にはフレデリック神父の生い立ちを含め、その人となりができるまで歩んだ道が物凄く気になった次第です。恐ろしく冷酷な悪役として立ちはだかる彼が迎えた末路は衝撃的であると同時に、何故こんなことに…と深追いせずにはいられませんでした)。 SFという明らなフィクションでありながら、自分に近い距離で登場人物について考えさせられるこちらの作品は、間違いなく魅力的なキャラクター文芸といえるでしょう。 長々と述べましたが、私のレビューはAttoⅡのほんの一要素を語っているに過ぎません。作品の面白さや魅力を知るには、やはり実際に読んでこそだと思います。 なので、未読の方は是非とも読んでと、声を大にして言いたいです。きっとATPの世界観に、キャラクターに引き込まれて夢中になることでしょう!
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祇光瞭咲
2022/8/1 20:15
伊東いろはす様、この度はこのような素晴らしいレビューをいただきありがとうございます!とっても感激です。 我ながら盛りだくさんのAtto2、まとめていただくのはとても大変だったと思います💦 本作のメインテーマに触れていただきありがとうございます。 こうした作品を描く以上、死は避けられないと少々沈痛な気持ちで執筆しておりました。同じ描くならば気高さをと思いつつ、それが叶わないキャラクターもいました。それだけに、こうして彼らに想いを馳せていただけることが本当に嬉しく思います。 特にフレデリック神父ですが、彼は悪役であるがゆえに彼の表の部分(まったく善性を持たない人間もいないと思うのです)は描けな
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伊東いろはす
2022/8/1 21:20
こちらこそ、素敵なシリーズ作品をありがとうございました💖 フレデリック神父の行いそのものは許されることではありませんでしたが、存在そのものはどこか魅力的で彼の最期まで目が離せませんでした。 それ故にあの結末は衝撃的で、自分のなかでは未だに整理がついていなかったのですが……なるほど💡彼は賢すぎた!とても腑に落ちました。アラストルと共鳴する可能性も納得です。 特に印象強く引きつけられたキャラクターであったために、個人的な思いであるにも関わらずレビューに書いてしまいましたが、このように丁寧にお答え頂きありがとうございます。フレデリック神父の生涯というものにもほのかな光が見え、少しほっとする思いです
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