瀧なつ子

良質な揺さぶり
スティーブン・キング原作、ジョニー・デップ主演の映画に「シークレットウィンドウ」という作品があります。作家の男の前に、生活をおびやかす男が現れて、作家の日常がだんだんと崩れていきます。その男の存在は、唐突でありふあんです。 本作「アリバイは天秤のように」に登場する沢井刑事は、まさにこの男と似たふあんを与えてきます。 主人公の良心が作り出した幻のようにさえ見え、彼が非日常と罪の重荷に苦しむ様は、読者をしんしんとふあんにさせていきます。 ふあんは最初は小さく、みるみる膨れ上がるものですが、そのスイッチを入れられた感じがします。 気持ちを揺さぶる物語として、上質です。 別の見方をすれば、主人公が妻に隠し事のない清廉潔白な男であったなら、被害者沢井は誰に見られることもなく、汚名を拭えないまま死んだのでしょう。 そう考えると、主人公も屑なだけではないのかも。 彼がこのあと一旦全てを失ったとしても、数年後にはあれでよかったと、静かに、そして今度こそ本当の彼の人生を歩む気がします。
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なつ子さん、感想をいただきありがとうございます✨ なんと上質で含蓄深いコメントでしょうか。想像を遥かにこえたサプライズプレゼントをもらったような幸せな衝撃に震えております。 屑主人公が今後成し得るかもしれない沢井家の救世主、そんな今後の予感も考察していただけることが、ぐらりと揺れるように嬉しい限りです。 改めてまして、ステキな感想をくださり、本当にありがとうございます✨✨ 福川
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