狗夜 凛

ポップ&キュート✨💕
猫を飼っている身としては、つい描きたくなってしまうのが猫の日常の中の愛らしさだと思います。 特に共感できたのはコンテスト用のパートで、分かる分かると頷きながら読みました。 全篇通して非常にライトな文体で読みやすく、それでいて何度も推敲されていたのでしょう、そうした文体作品特有の誤字脱字がなく、均一感がある丁寧な仕上がりでした。 アルファ・ビルヂングパートは、複数の作家さんの作品やキャラクターを織り交ぜながら書くという難易度の高いものです。 私は自分がこの中に入り書くとなると、とても難しいなあと思いましたが、今作ではそれぞれを上手く融合させ、各々が独立した個性として生彩を放っています。 それだけでなく、今作の主人公である彰人、ヒロインの理子も年の割に幼い面が多く、一社会人として至らない点があり過ぎていながら、その欠点がとても魅力的であり、前述したライトな文体ならではの軽さが、本文を口ずさんで歌うような軽やかさで光っていました。 ハナとトラの猫ふたりも随所で躍動しており、ラストシーンは見事な格好良さを見せて、彰人と理子の恋物語にあらず、主役は私たち猫だ!と言わんばかりの演出がうれしかったですね。 児童向けアニメーションとして今作を作るとなれば、そこから派生して他の作家さんの作品に興味をもつ子も多いと思います。 途中で淫らを指すワードがありましたから、そこは変えられてしまうでしょうが、児童向けアニメ映画としてのポイントはきちんとおさえてあり、映像化という夢も見られる作品ではないかなと思います。 恋物語に関しても、淫らにならず、幼い頃からの想いを貫く理子と、まったく女っ気のない(だけどモテる)彰人は、まさしく純真な子どもに夢を与え、未来の恋を思い描く端緒になるだろうと感じました。 個性的なキャラクターによって構成された物語であり、文字通り複数の作家さんの息吹も入った作品であり、なおかつ未来を想像させる余白がある結び方なので、完全な完結に至らず、続編や番外編を望む読者もいるかと思います。 一言で言えば、とてもかわいらしい作品でした。 作者の仁矢田美弥さんの中にある猫愛、そしてピュアな心が紡ぎだした素敵な作品とも言えます。 猫を飼っている方は、まずコンテスト用パートだけでもご一読ください。 ポップでキュートな仁矢田ワールドに引き込まれたら、立派な猫変態です(笑)
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