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カーテンと自己防衛
シバケンタップ
2022/10/4 13:23
ひとつひとつのエピソードに未来を見据えるような
大佐戸さんの連載が完結になり、毎回更新を楽しみにしていたのでいよいよ最後かと名残り惜しい気持ちで読みました。良かったです! 結婚1年目の記念日を迎えた若い夫婦が、思い出話を語りふと振り返る。その会話の中で、2人の人物像が徐々に積み重ねられていくのですが、この2人の関係がとても温かく同時に繊細であったりします。このあたりの読み手の心情の揺らせ方がものすごく見事だと感嘆します。私は流れに乗ったようにこの話の行き着く先に体を預けて誘われる。時に大笑いしながら、心が揺れて涙が出そうになったりするのです。その理由はなんだろう。おそらく読者の私にとって2人が共感し応援したい存在に見えて、しかしどこかに感情移入できないところが見えたりして、その小さな違和感が微かな不安となって物語に奥行きをもたらせていることに気づくからだと思います。 しかしどこか不安を感じながらも、最終話を読み終えた時の感覚は、重苦しさはなくてむしろ明るい。まるで新しい季節を迎えたような風が吹くのを感じます。その理由はふたりが語るエピソードにところどころ出てきます。フラクタルの話の水希の言葉であったり、カーテンのくだりであったり、トルコキキョウであったり。それらの「一見なんてことのない」ようなやりとりの中で初めて、違和感に対して強い肯定をしている自分に気がつく。だからこそふたりはこれからもずっと生活をしていくのだという想いや愛情に感動するのだろうと思います。タイトルをもじるわけではないですが、小さく湧き起こるカーテンコールが聞こえるような作品でした。レンコンと理論武装に続く話なんだとワクワクしました。水希と雪和ペアの話はぜひ今後も続編が読みたいです。
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大佐戸達也
10/4 15:19
シバケンタップさん、どんだけ誉めてくれるんすか(T_T) 貴重な時間を使って、こんな丁寧に書いて頂き…言葉になりません。ありがとうございます!
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