相生 逢

後輩を盗む https://estar.jp/novels/26025224  先輩が私を盗みに来る。  会社の先輩は優しい人だった。入社した私の指導係になったのが先輩だった。なかなか仕事を覚えずミスが多かった私にも根気よく教えてくれた。  先輩がベランダ側からの窓のガラスに穴をあけて部屋の中に侵入してくる。手際がよくて惚れ惚れとする。  リビングの中央で心臓をナイフで一突きされて死んでいる私のもとにゆっくりと近づいてくる。全身黒づくめに黒い目出し帽をかぶっている一目で分かる泥棒スタイルだ。  こういうところも先輩は真面目だと思う。先輩は死んでいる私を見ると寂しそうな悲しそうな複雑な表情をした。

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