狗夜 凛

チャボが放ったホームラン
この『たまご』という作品は、全5ページで構成されていますが、各ページごとに仕掛けがあり、3000文字という長さを感じさせない、ぎゅっとした面白さが詰まっています。 1ページ目の兄。 2ページ目の妹。 3ページ目の母。 4ページ目のチャボ(笑) 5ページ目のお隣さん。 この中でもっとも異彩を放ち、唯一の被害者であるチャボ以外は、みんなそれぞれに泥棒という秀逸な設定。 チャボについては特に書きたいので後述しますが、他の四人は個々の事情により、とても小さな盗みを働いています。(5ページ目のお隣さんは罪に問われるかも知れませんが) その盗みの理由もまた面白く、文体的にも軽やかで、微笑ましく読み進められました。 兄の事情、妹の思い、母の憂鬱、お隣さんの疑問。 それぞれに笹乃さんのセンスが光っていて、だけどそれは日常生活の中における他愛のない気持ちで、肩肘張らずに偏らず描き出したであろう柔らかさが、心地よい素の空間を作り出していました。 そして、それら四人を遥かに凌駕する圧倒的存在のチャボ。 このエピソードを4ページ目に配置したことで、物語が大きな広がりを持ち、小さな世界にありながら、魅力的なメインキャラクターが爆発的に増えた因にもなっています。 鶏たちの会話は、何にもとらわれず素直でかわいらしく、誰かに配慮したりもしません。 忖度を知らない存在ゆえの純粋さが、非常に笑えるエピソードとしてドンと物語の核を成し、全5ページのエピソードを引き締めながら楽しませてくれます。 本作はリアルと妄想の融合であり、多くの方に読んでいただきたい傑作です。 現在(2022.10.16.)でも、私が心から推す4ページ目は高評価で、さまざまな方からペコメが寄せられています。 かわいい泥棒たちが織りなす愉快な物語。 より多くの方々に読まれて広まるように願い、レビューとさせていただきます。
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狗夜 凛さま こんなに素敵で嬉しいレビューありがとうございます💞 ヾ(*´∀`*)ノキャッキャヾ(*´∀`*)ノキャッキャ♬  当初から気に入って頂けたことも私の誇りでございます。 本作は、初めての試み“視点切替”を使ってみました。ちょこっとずつ取っちゃってる様子を、各々の言いぶん絡めて書くことは私には難し過ぎたので、思い切って視点切替を使いました。 おかげで産まれた四頁目。 実家で父が育てていたチャボを思い出し書いたのです。たまに頼まれた”餌やり”は「知らん奴来たー」ぐらいにコケコケ言うんです。 卵の回収時には、もちろんツキツキ(痛) ゆで卵のワードからチャボちゃんにつなげられたのは良か
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