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A Thorny Path ( Atto Ⅱ)
十月 涼
2022/11/6 22:02
成長の果てにあるもの
三幕仕立てのATP、第二幕。そういった意味では、ここが物語の転換期となるのでしょうか。 物語は、一気に宗教や政治の絡んだ大舞台へ。一部と比較しても、とても目まぐるしく容赦ない展開が待っています。 二幕は、キャラクターたちの成長が殊に描れていました。中でも圧倒的な成長を見せたのは、人間離れした外見を持つ「彼」だと思いますが、彼については他の皆さんが多分に触れてくださっているので、ここでは深く触れないことにします。 私から申し上げたいのは、読者体験について。彼らの成長──あるいは崩壊に合わせて、私たち読者も“ATPの読者”として成長している気がするのです。彼らへの理解者、としての成長とでも言いましょうか。 読者は、第1幕から丁寧に綴られた彼らの言動を見守り、果てはその人道的ではない部分まで見てきました。けれど彼らを嫌いになれない。元は恐怖すら抱いてしまっていたキャラクターに対しても、二幕では何だか愛しさすら覚えたのです。私事ではありますが、とある事情により恨んでいた某神父さまも、なんだかどんどん魅力的に感じていきました。まぁ恨みは忘れていないのですが… それは、読者側の“成長”と言えるのではないかな、なんて思います。 二幕では、また新たに魅力的なキャラクターがたくさん出てきます。驚くくらい。なんでそんなに魅力的なキャラクターを思いつけるんですか?すごい。 個人的にはラスイルが好きです。人間臭い子が大好きなので彼女の選択に歯噛みしながらも、その生き様を愛しく思いました。 ラスイルが大切な“もの”を壊した瞬間。それが、彼女の覚悟が決まった場面でもあったように思えます。 成長の果てにあるもの。それは、必ずしも幸せだけではないのかもしれません。 かけがえのない人を犠牲にした成長や、心の奥、何か大切なモノを犠牲にした成長の先は、ひっそりとした寂しさを纏っているように思えました。でも、それは残酷なほどに本物の空気なのだと思います。 綺麗事だけではないATP。次作がとうとう最終幕とのことで、今からとても楽しみにしています。 ありがとうございました!
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祇光瞭咲
2022/11/8 7:19
十月さま、Atto1に引き続き今作の読了ありがとうございました。 長編ゆえ多大なお時間をいただいてしまったかとは思いますが、そのぶん少しでも楽しんでいただけていれば、これ以上の幸せはありません。 第1幕に比べて急展開の連続だった第2幕、いかがでしたでしょうか。一部のキャラクターにかなりの負担を強いてしまったので、少しだけ懸念しておりました笑 それでも真摯に彼らと向き合い、絶望も残虐性も成長も見届けてくださったこと、本当にありがとうございます。 作者は好き勝手書いているだけなので意図はしていなかったのですが、おっしゃる通り全編を通じて読者の方々は本当にどんどんと親身にこの物語と向き合うように
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