ともなり

超・妄想コンテスト『○○が落ちて来た』裏会場👑銀賞受賞作品
世界から浮いていた少女が地に足をつけるお話。前半の鬱蒼とし、払拭できない不安に包まれつつ、それを非現実にしがみつく事でやり過ごしている描写はぬるま湯につかっている状態を見事に表現していて、出たら寒い、でも出ないとどんどん冷えて行く、分かっていてもそれを手放せない、それを認めないと言う状態を様々な手で表現していました。お話のキーとなる友人の存在も前半の印象と後半で明らかにされる事からかなり強く意味が変わるのにも驚かされました。単純な良い話と言う事で終わらせず、かと言って引きこもりが悪い事であるかのような決め付けもせず、不登校児が日常を取り戻す話の様に見せかけつつ、実際は違うテーマを扱っている事にも驚かされました。前半の水中にいるかのように走っても進まない夢の様な読み心地とは打って変わっての後半の疾走感は心地良く、足が付いた事で逆に軽やかで鮮やかな世界になるのも良かったです。

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