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PretenderS(演技者たち)
倉橋
2022/11/21 14:11
未苑真哉氏の小説を読んで~文学作家の書く魅力あふれる小説~
未苑真哉氏は小説で数多くの実績を残しているばかりか、個性あふれる魅力的なイラストでも、他の投稿者から引っ張り凧である。また氏のエッセーを読めば氏の豊富な読書経験が伺え、氏の読了した作品の中から特に厳選された作品についての的確な分析と紹介は、読者にとって有意義な時間と確かな教養を約束する優れた企画となっている。 氏は文学サークルに所属しているということで、太宰治の『斜陽』を二十一世紀の視点から見事な分析を提示し、大きな反響を呼んだ。 これは前段ではない。氏の作品を語るとき、必ず心に留めて置かなければならないことであろう。 即ち氏は本質的に文学作家であり、氏の作品は「文学」という果てしない大海を進む豪華客船なのである。 だが氏は「文学を書く」と主張する人間が陥りがちな頑迷な硬直さと凡庸な退屈とは遥かに乖離し、扱うテーマや内容も多種多彩であり、硬軟バランスよく取り混ぜた「読んで面白い文学作品」として完成されていることをまず指摘したい。 氏の作品はとにかく面白いのである。 だからといって作者の設定したテーマを遂行するための不自然で極端な設定は微塵とない。殆ど全ての作品が私たちを取り巻く現代社会を基盤としていることに驚嘆する。ストーリーは自然に展開していくが、「了」まで読み通したとき、読者には氏の提示するテーマが自ずから浮かんでくるのである。 今回の作品はまさに氏の作品の魅力をあますことなく伝えたものである。 何度も読み返してみよう。 この作品はスタートで読者の目を引きつける。 実をいうとその後の展開というのは最初の場面についての主人公と周囲の人々との間の会話や主人公の心理描写に終始しているのである。 だがこの見事な描写はどうか? 開巻以降、大きな事件がないにも関わらず、個々の登場人物は等身大の姿で読者の目の前を生き生きと動き、最後まで読み終えたとき、私たちはこの作品のヒロインに限りない魅力を抱かずにはいられない。そして恋人と称する男子の惨めな卑小さと滑稽さに苦笑し、底意地の知れないクラブの部長の今後の言動を想像してしまう。 面白い作品を読んだとき、誰でもそれを知る人間の優越感から、他の人々に大声でまくしたてたくなる。 この作品がまさにそのひとつである。 エブリスタの文学作家、未苑真哉氏の作品を語ることに、私は心から喜びを感じている。
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未苑真哉@書籍デビュー『人生投影式』発売
2022/11/22 0:38
倉橋さん!!!! この度はレビューを書いて下さり、誠にありがとうございます😭✨ 身に余り過ぎる内容に、「まさか他の方へのレビューを間違えてコメントされたのでは……」と何度も読み返してしまいました💦 上記のようにお褒めて頂けるような実が無さすぎて……身に余り過ぎて、服(レビュー)が独り歩きしてしまいそうです🙇 文学に憧れているだけの我が身が、このレビューに見合うようになるよう、日々精進して参ります。 改めて、倉橋さんはエブリスタにおける私の「師」です。 これからもご指導、ご鞭撻のほど宜しくお願いいたします!!!
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