赤羽道夫

超能力者の見る夢は
公開を追いかけて読んでいく、ということはあまりしません。 それは途中で作者が放り出して続きを書かなくなる場合がわりとあるからなのですが、沢村基さんはそういった心配がないので、少しずつ完結まで読んでいきました。だから14万文字を超えているとは気づきませんでした。こんな長かったんだ。 ベースとなった「実験庭園の歩き方」は以前に読んでいて、それで憶えているのは、登場人物が途中で次々と死んでいくのが衝撃的だったということでした。 今回、死ぬのが優吾だけで、そこが異なっているのはわかりましたが、それ以外なにが変わっているのか、前作のストーリーをちゃんと憶えていないせいか……というか、読んでいてもしっかり理解していなかったです。あとがきにあったように登場人物が多かったからかもしれません。せっかく書いた設定なりエピソードを削っていくという体験はしたことがないですが、つらい選択ではなかったかと想像します。 こういう設定の場合、対立から全面戦争になりそうなのに、それを回避しようとする方向へと舵をきっていくところが、安易にアクションで読ませようとするラノベとは違うなと感じました。 キャラクターたちが、なにが最適な判断なのかを必死で模索しながら前進後退をしつつ、それぞれの立場が足かせとなって身動きが思うにまかせないながらも、最後には希望へとたどり着くところがよかったです。そこが評価につながったんではないかと思いました。
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赤羽さん、レビューありがとうございます。 とにかく完結させることはやってきましたので、そう言っていただけてとてもうれしいです。 おっしゃるとおり、改稿によって、登場人物が死んだり、大きなケガをしたりするショッキングなシーンが減っていると思います。どこを山場にするか考えて、エピソードを絞った結果だと思います。 私自身は、安易に戦いになることを避ける……という主人公の人間性を描きたかったんですけど。「他者との共生をめざす」というのが、この作品の大きなテーマなんですけど。 でも、一方でこういう設定にしたら、読者は、超能力戦による派手な闘いを期待するものなのかもしれないなあ。私の書いているものは
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