日常の「気付き」を描いたら、やっぱりつぶあん様!
橘家シリーズは繊細で優しい長男・奏くんと、素直で率直でやっぱり優しい次男・巧くんの兄弟と、その父で医師である匡久さんの日常を描いた作品群です。 彼らに訪れる出来事はとてもささやか。ですが、同級生や職場での会話など他者との触れ合いに訪れる「気付き」はとてもドラマチック。キラリと光る心の機微を切り取られる作者様です! 前置きが長くなりました。本作『白衣の王子様』はシリーズの中でお名前こそ出てきたものの、既に鬼籍に入っている橘家の母・まりえさんが主人公。 「あの橘兄弟のお母様……、何よりたすく(匡久)さんの奥方。医師の妻!(笑←ここ) さぞかし懐の深い方なのだろうなぁ」と勝手な妄想を膨らましてきたファンとして今作の連載開始に小躍りしたものです😍 冒頭、まりえさんが匡久さんと初対面するのはやはり病院。ところが患者は本人ではなくお祖母様の巴さん……年頃のまりえさんは、糖尿病を患う祖母のケアをしていることが判明します。 ここ近年やっとヤングケアラーの問題が扱われるようになりましたが、作中のまりえさんが抱える問題はそう括るだけではない複雑な――誤解を恐れずに言うなら、仕事と夢の両立、実家の親との葛藤など20代の悩みに向き合っています。 絵を描くことが好きなはずなのに、拮抗する現実からか筆が進まない。匡久さんへのほのかな想いも、医師の仕事を理解してこそ恋愛へ臆病になってしまう。 それも全て、まりえさんが他者の気持ちに寄り添うがゆえ……。 そのナイーブな気持ちの先に、橘兄弟の母になる未来が続いているのだと思うと、感慨深かったです。 誰かを想う気持ち、「気付き」は、さまざまな葛藤をこまやかな織物のように重ねた先に身に付くもの。 人の優しさの奥深さを思い知りました。 改めて、著者・つぶあん様の眼差しが優しく柔らかいからこそ。 ますます橘家シリーズの虜になりました❤
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未苑さま このたびは、本当に拙い作品に、お読みいただくだけでなく、レビューにまでお時間を割いていただき、誠にありがとうございます。 連載当時から、いつも温かいペコメで励ましていただき、おかげさまで完結することができました。 そしてまた、過分なお言葉を頂戴し、恐縮するばかりです。 >たすく(匡久)さんの奥方、医師の妻 >さぞかし懐の深い方 この未苑さんの理想には遠く及ばない、まだまだ「まりえちゃん」と呼ぶのがしっくりくる登場人物だったにも関わらず、温かな目線で見守っていただき、本当にありがとうございました。 >20代の悩み まりえの場合は、本当に苦しんでおられる方から見ると、ま

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