ぷりりん

序盤のコメディタッチに騙されて軽い気持ちで読み進めたら危険!
最新話まで読了しましたので、可能な限りネタバレなしで書かせていただきます。 まず本作は笑いあり涙あり、細部まで丁寧に設計された壮大な物語です。 登場人物全員にそれぞれの葛藤と目的があり、時には敵として、時には味方として力を貸しあい、世界の理不尽な現実と闘っていく展開になります。 序盤の滑り出しから王道なヒーローものの展開になるかと思いきや、途中から唐突にひっくり返され、どんでん返しに振り回されながら伏線はきっちりと回収されていくので満足感と絶望感とで感極まり、読了後はまるで終わりのないローラーコースターに乗せられたような気分になります。 なによりモブを含め登場人物一人ひとりに焦点を当てた構成が秀逸で、ページを重ねるごとにどんどんと特殊な世界観に引き込まれていき、キャラクター同士の絶妙な絡み合い、ぶつかり合いによって成長していく姿、変わってゆく未来に応援の涙と絶叫が止まりません。 また、バトルシーンを迫真に描写できる圧巻の文章力に加え、時事ネタを適度に取り入れるギャグのセンスも最高です。 特に主人公のコウシロウとヒロインのそあらの関係性が愛おしい。 二人は正反対の思考からよく喧嘩をする、いわゆるケンカップルなのだが、いざという時には誰よりもお互いのことを頼り合える、つまり最高のバディなのです。 また互いのことを理解しすぎたせいで制止が効かないことを悟り、苦虫を噛み潰したような気持ちで無茶な行為に助力する場面などもあり、「愛」と「友情」だけでは表現し得ない二人の特別な絆が本作の醍醐味だと個人的には思います。 しかし、面白いことにこのような「特別な関係」を持っているキャラクターは主人公の二人だけではないのです。 冒頭でも言及したとおり、登場人物全員にしっかりとした信念と目論みがあり、一見救いようのない悪役でも実はその背景には複雑な経緯、いわばバックストーリーがしっかりと設定されてあり、読み進めば進めるほどこうなるしかなかったのかと心を痛めることになります。 作品自体の分量は多いように見えますが、読み応えのある文体でサクサクと読みやすく、この世界観を理解するためにもぜひ一読することをお薦めいたします。 ここまで迫力満点な物語を作ってくれた作者に敬意と感謝を捧げて、更新が再開される日をお待ちしております。
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うわーい! 詳細で多角的な評価、ありがとうございます! 作者として産みの苦しみいっぱいのお話なので、触れてもらって嬉しいところを的確に突いてくださったのニヤけてしまいますね。 今後の更新につきましては近いうち動き出しますので、引き続きよろしくお願いいたします!
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