リミル

🐇HAPPY NEW YEAR🐇 「か、可愛い……!」 「かわいくないのぉ!」 ユキのご機嫌が荒れると分かっていても、千歳はそう呟かずにはいられなかった。ピンクのもこもこのウサギパーカーを着たユキが、新年の挨拶にレグルシュ宅へやって来たのだ。 ユキはとことことレグルシュの前まで歩くと、両手を差し出した。 「レグ! お年玉ください!」 千歳はふっと吹き出してしまう。正直過ぎるユキのおねだりに、レグルシュは眉を潜めている。 「お前は。毎年変わらんな。今年は衣食住を見てやったんだからそれでなしだ」 「えーっ!? じゃあ、ママに言ってくる!」 レグルシュは顔をぎょっとさせる。そして、財布からポチ袋を取り出すと、ユキに投げるように渡した。嫌々ながらも用意周到だ。 「やったぁ!」 今日は三人で近くの神社へ初詣へ行く予定だ。レグルシュと千歳は暖かい格好に着替えて、外に出た。それぞれ左手と右手を繋いで、ユキを真ん中にして。 境内にはちょっとした屋台があり、いい匂いが漂っている。すぐさま反応したのは、食いしんぼうのユキだ。 「わあぁ! ユキ、りんご飴とカステラとたこ焼き食べたい!」 お参りの列はかなり長く続いている。先に軽く腹ごしらえをしてから、並ぶことになった。 「ユキくん。僕が買ってあげるね」 千歳はお年玉を用意していなかったので、せめて、とユキに話しかける。しかし、ユキは首を振った。 「ユキ、お金持ちだからちーに買ってあげる」 そう言うと、ユキは先ほどレグルシュからもらったポチ袋を開いた。 「本当に……お前は。それは姉貴にそのまま渡せ。俺が後でいろいろと言われて面倒なんだ」 レグルシュが財布を取り出すと、ユキはレグルシュの太腿あたりを拳でぽすぽすと叩く。 「ちーにはユキが買ってあげるのぉ!」 「え……そんな。大丈夫だよ。ユキくんのお年玉なんだから、大事に使わないと」 「ちーとのデートだから、大事に使ってるもん」 レグルシュがいる前なのに、ユキは大胆だ。嬉しいような恥ずかしいような……千歳は照れ笑いを浮かべた。 「デートだと? 初詣で連れてきてやってるだけだ。一度その煩悩を払ってもらえ」 二人がバチバチと火花を飛ばしている間に、いつの間にか後ろには列ができている。「ユキが払うの!」と断固として譲らなかったため、二人はユキに奢ってもらうことにした。       »続く
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初詣の列は少し空いてきている。お賽銭を投げ入れると、千歳とレグルシュは揃って手を合わせる。下で「ユキも!」と急かされたので、千歳は抱っこしてやり、鐘を鳴らすのを手伝ってやる。 「ちーと結婚できますように!」 声にした願い事に、レグルシュは不敵に笑うのだった。 fin.
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明けましておめでとうございます🐰 素敵なお年玉 ありがとうございます🐰 この三人のお正月が読めて嬉しいです(*≧∀≦*)
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あけましておめでとうございます🎍 千歳・レグ・ゆきの初詣 新年からほっこりさせていただきありがとうございました(*^^*)
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明けましておめでとうございます🐇 短いお話でしたが、楽しんでいただけて嬉しいです❣️ こちらこそ読んでいただきありがとうございます! よいお年をー✨

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