初夢で会いたかった
 瞬きの間すら惜しいと思ってしまった。私はその人に目を奪われた。  椿の中に、彼女はいた。 §§§  雪が降った日だった。空気は凛と冷えきり、あたりは白亜に覆われて、美しく咲く白椿の花々の健気な枝葉は霜を纏ってしまっている。何一つとして音を立てず、風も吹かない。凍ったような景色はどこまでも静寂を受け入れていた。  白椿の森を行く。空から雪が散っている。雪の匂いがつんとする無音の世界で、足下から雪鳴りを立てて歩くのは、どうにも許されざる領域をおかしているような気になって野暮な風に思えてしまう。  そろそろ引き返そうか。元来た道を振りかえり、周囲を見渡した時だった。  ――――誰だろうか。  白い雪景色に一つだけ紅がさしていた。風さえ凍る白亜の世界に、一輪の紅椿が揺れていた。……いや、生花ではない。紅椿の飾りを施した、あれは簪だ。簪を持って佇む人がいる。  私は決して気どられることのないように、椿の陰からそっと飾りの主を窺った。 (あ……)  儚げな人だ。そして、白い。  そこにいたのは、一人の若い娘だった。いや……そうと呼ぶにはあまりに清らかな立ち姿。  少女だ。周囲に咲き誇る白椿によく似た、花のような少女が私の世界に舞い降りてきた。  その時、風が吹き抜けた。  少女の艶やかな白銀の髪が銀糸のようにふわりと浮いて、その面差しを明らかにする。瞳は紫色の輝石に似ていた。雪のはじく陽の光が大きな瞳で輝いている。線が細く、むやみにふれるものなら消えてしまいそうな気配さえある。  薄紫の左前に身を包み、椿の森で佇む彼女はまるで一枚の絵画のようだった。  そして同時に私は心から自分にぞっとした。  彼女が紅椿の簪を切なそうに見つめて、彼女の持つ簪の意味を分かってしまったのだから。足跡さえ消えるほど……少女は雪の中で長い時を待ち続けている。  ――――時節は正月。古くから、初夢には、想い通ずることの叶う人が現れると伝わる。しかし……私は彼女と夢で出会ってなどいない。  私は、彼女と視線を交えては……決していけない……。  音を立てずに足跡だけを残して去る。いずれ私がここにいたとも分からぬほどに雪が覆ってしまうだろう。だがせめて雪よ、どうかこれより降らないでくれ。彼女が待つ人をさまたげるな。彼女が私に気づく前に。  さよなら白椿、至上なる美しき花よ。 (感想:ルイさんすごーい!)
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???(宇宙猫状態のルイ)??? ぷーさ…ぷーさん…? 待ってぷーさん、私はいったいなにを見たの…?あっこれ私の夢?初夢だった? あぇえぇあ、あ、ありがとうございます…ありがとうございます!!😭✨ 文章から伝わる、しんとして静謐な空気、冬の温度、雪の情景……そしてもうずっと長い間イルちゃんは待ち続けていることをイラストから読み取ってもらえて…😭✨ そして視線を交えてはいけない存在として描写してもらえたのがまた…!グッときました!! 今朝も冷え込みますが、逆に寒い中読めて良かった… 「ルイさんすごーい!」がこんなショートストーリーに変換されちゃうぷーさんがすごいです!知ってた!ぷーさんすごい
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いやスクショじゃ足りないこの感想へのリンク貼れるの知ったからリンクも貼らなきゃ…
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ありがとうふーさん……ありがとうルイさん……。 非現実的な美しさに自分が関わったら消えてしまいそうな儚さ……!! 私が白椿イルちゃんに感じてたことが全て詰まってる……!! いや、もう視点の主って私じゃね?って錯覚までしちゃいましたᐠ( ᐖ )ᐟ
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こちらこそありがとうえんどるさん……ありがとうルイさん……。 最初は素直に感想を書こうとしてたんですが、いつのまにか感情移入しすぎて小説になっちゃってました( ᐛ 👐)w

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