中原夢遊。

世間とは、いったい、何の事でしょう。人間の複数でしょうか。どこに、その世間というものの実体があるのでしょう。けれども、何しろ、強く、きびしく、こわいもの、とばかり思ってこれまで生きて来たのですが、しかし、堀木にそう言われて、ふと、 「世間というのは、君じゃないか」  という言葉が、舌の先まで出かかって、堀木を怒らせるのがイヤで、ひっこめました。 太宰治「人間失格」より引用
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