一ノ瀬亮太郎

ジェンダーの社会的強制に対するアンチテーゼを強烈に提示する渾身の問題作!
 まだ夕焼けがニャンニャンしていたあの頃、男子にとってセーラー服とは脱がせるものであって、決して自ら着るものではなかった。またそれは女の戦闘服であり、ファンシーなものでもなかった。想像してみてほしい。ブレザーにミニスカート姿の麻宮サキがヨーヨーを振り回す姿を。やはり彼女はセーラー服にロングスカートでなければならなかったのだ。  しかし時代は変わった。恐れられるはずのセーラー服ヒロインはランドセルを背負った少女たちの憧れになり、あまつさえその父親までも絡め取ろうとしている。そのためには先人たちが「お子様(検閲校正)臭い」と忌み嫌ったミニスカート(それも極限まで切り詰めた)を着用することも厭わない。  しかしながら「セーラー服は脱がせるもの」という固定観念はいまだ根強いものがあると言わざるを得ない。本作の主人公である桜町も「セーラー服を着る」という行為に踏み切るまでには八年もの歳月を要したのだ。しかし彼はもう知ってしまった。自らの信念に違わぬ生き方を。彼の前途には「○○!(検閲削除)」といった謂れなき非難が待っている。それでも彼はセーラー服を着続けるだろう。私はいつか桜町が社会に受け入れられる日の来ることを願ってやまない(ちなみに私は着るより脱がせたい)。  なお本作には、リアル妹を有する者には理解し得ない「妹萌え」なる概念に関する深い考察も含まれているのだが、その検証はまたの機会に譲るととしよう。
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一ノ瀬亮太郎 様  社会的文化をベースにセーラー服という特殊な服飾について、私にとっては哲学的ともとれる感想を頂きありがとうございました。セーラー服は、文字通りセーラー(水兵)の服装で戦闘服です(男子の詰襟も軍服ではありますが)。作中にも書きましたがセーラー服の何にときめくかは自分にはわからないけれど、ただかっこ良かった。そして、服には何か力が宿っている(言霊ならぬ服霊ですかね)というイメージを持って書きました。そして、ちょっと時代遅れのヒロイン像も意識しました。何かの機会にまた、桜町吹雪が活躍する場があるかもしれません。 今後ともよろしくお願いいたします。 ありがとうございました!     
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赤葉小緑さま  毎回違った趣向の作品を出されてくるなか、今回はギャグ作品ということで、私もちょっと遊ばせていただき、真面目な評論の体裁で思いっきりくだらないことを書いてみました。「くだらない!」と笑い飛ばしていただければ幸いです。 次回はどんな作品が飛び出してくるのか、楽しみにしております。
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