【コメント】超・妄想コンテスト『染まる』裏会場👑銀賞受賞作品

愛しのマイガール

超・妄想コンテスト『染まる』裏会場👑銀賞受賞作品

夏の日に少年が彼女とデートをするお話。何もかもをうっとおしく悲観的になっている主人公と、対を成す様に天真爛漫な彼女のやり取りは、そこに大きな温度差を感じさせちぐはぐな感じを受けるのですが、徐々に明らかにされる主人公の内心とその境遇でその理由が察せられるようになっており、意味のあるものだと分かった時はゾッとしました。作中、田舎にも彼女にも染まるのが嫌だとありましたがこの言葉には重みがあり、それは何も田舎でなくとも成立してしまうその境遇が、主人公には田舎だからだと、ここを抜け出せば違うと言う救いを求める願望にも思えました。それゆえ彼女に染まりたくないと言う思いはむしろ、自分がそこから逃れる術を手放す事に直結している為矛盾を抱える訳ですが、抜け出すのではなく彼女を引っぱり込んでしまうと考えてしまう程に囚われている故に思えました。ラストでは彼女がただ天真爛漫だった訳ではなく、意図してそうしていたともとれるシーンがあり、これは力強いなと思いました。結末で夏の印象がガラリと変わるのも印象的でした。

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