各務縁

たくさんの想像をさせてもらった話。
ずっと引きずる想い、それはもしかしたら沢山の人が経験しているかもしれない。 そこに共感する、という物語の冒頭の感想から、 そうじゃないんだというラストの感想に至るまで、 思わず一気に読み進めてしまう素晴らしい作品。 千華さんはこういう切ないというよりは、むしろもう痛み(傷み)と言っていいほどの物語を書くのが本当に上手い。 ただ好きだから、伝えたかった、そういう話で終わらない。 そもそも主人公の真美の気持ちは最初から周りにもバレバレで、 その相手の蒼真本人すらも気付いている。 そこが面白い、そこが切ない。 大人になってもその「好き」という純粋な感情はそのままで、 関係もそのまま。 それは優しさだったりするのかもしれないが、 時に残酷でもある。 「好きになれなくてごめん」という文章が心に刺さった。 学生時代から年月が経った今も同じ状態と、気持ちは、 ともすれば、この先も、叶わなくても、ずっと一緒にいられるんじゃ?と錯覚させてしまっていたのかもしれない。そう思いながら読んだらもっと切なかった。 だけど、最後に溢れ出る、本音という吐露。 「好かれたかったから」と言う言葉も胸に刺さった。 ちゃんと、恋愛感情で、自分が想っていたのと同じように。 それは、私たちがやっぱりどこかで経験し、共感できる感情であり、 それがもう叶わないと知っているから、この物語は胸の奥に落ちる。 最後の風景。 真っ赤な紅葉の中に立っている蒼真はとても綺麗なんだろうと想像できる。 じゃあ蒼真が見た風景は?と想像した。 「好きになれなくてごめん」 一生懸命階段を登る、真美。 それはたぶん、「特別に」「1番に」好きになれなくてごめん。 そういうことなのだろう。 そう思った。 真美が自然体で好きになれる人を見つけた時、蒼真が「1番特別」でなくなった時、 たくさん気付くものがあるんだと、読後思った。 今回も素敵な物語をありがとうございました。
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各務さん、感動しました! ありがとうございます! 各務さんがすごすぎます。
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感想書けたの久々でしたかね🙂こちらこそありがとうございました。
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