けー

わずか8000字の中に、女子の夢がぎゅっと詰まった甘々ホラー!
この話はホラーなのですが、恋愛のムードもあります。 というのも、ホラーの対象である存在(水の宮)が、「美少年のルックスで、俺様ドSで、ほどよくヤンデレ感のある一途で、不老不死な神」という、魅力的なキャラクター。 主人公・加奈子は冒頭、「裏山の滝には行ってはいけない」と言われる。 神話や民話でも親しみ深いこの「見るなのタブー」を用いることにより、あーこれ、絶対滝に行くやつ。と、この話がどう転がるかを、早い時点で理解できる。読者は、もうお話について行きさえすればいい、って思えて、安心感とワクワク感を抱きやすい印象です。 さらに話を魅力的にしているのは、この加奈子の性格です。ドSの「水の宮」にひるまないし容易になびかない、凛とした態度。でもやみくもにキツいわけじゃない。「見るなのタブー」を破るのも、他者の命を助けるためなんですよね。契約を求められた時の決断も早い。頭が切れてヒロイックで応援したくなる。 「水の宮」は、ドSなので、加奈子に、通常時ではとても呑めないだろう要求をしてくる。でもどうやら、「水の宮」は気の強い加奈子がお気に召したらしく、しきりに好意をささやいても来る。 だから、いくら「水の宮」が俺様ドSな発言をしても、加奈子には、彼に溺愛される運命しか待ち受けていないことが、読者には容易に想像できちゃうんですよ。それに、加奈子は他者を救うために、自己犠牲を強いられたのだから、そのぶん幸せになってほしい、と素直に思える。 加奈子は、契約を交わしても、心までは渡さない、というようなかたくなさなのですが、「水の宮」に愛されると変わっていくんだろうな、と。「水の宮」も加奈子によって変わっていくんだろうなと、そんな未来を感じる描写なんですよ。 このラストのわずか1ページのやりとりが、女子の「欲しい」と思うシチュエーションをピンポイントで突いて来る。なんて幸せで甘いホラー。 「水の宮」は、加奈子の父のことは、害そうとしたと話しているけど、加奈子の弟のことに関しては、自分がやったとは言っていないんですよね。だからもしかすると、「水の宮」は、弟の件に関しては、命を助けてやっただけの、ものすごくいい人(神)なのかもしれない。そう考えると、「水の宮」ツンデレじゃん、って思えて、好感度はダダ上がりです。
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けー様 「神隠しの形を借りた甘々溺愛予定ホラー」という、作者が一番言いたかったことをピンポイントで伝えてくださってうれしいです。 加奈子と水の宮の二人は、時間がかかるとは思いますが、いつかお互いのことを理解し合えた時に結ばれると思います。 丁寧に読み込んでくださったことに感謝します。本当にありがとうございました!

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