赤羽道夫

見たことのない未来社会
誰も知らない未来世界の物語。そこへ果敢に挑戦して書き上げられた意欲作です。 ノアの方舟のようにして危機を乗り越えて人類が作り上げた250年先の未来で、大人になるために学習を続ける主人公ヘラルドの目を通して描かれる管理社会は、平和だが若者たちにとっては刺激のない退屈な場所だった。 しかしそこへある日、250年前の箱舟が流れ着き、その内部にいたとされる少女ルーシーが仲間として加わることで物語が動き出す……王道のストーリーだと思いました。 登場人物が少なく、読み手としては楽でよかったです。やたらと多いとそれだけで負担に感じるので。 中盤からストーリーが加速して、どうなっていくのかと、ヘラルドがどうこの難局を乗り切っていくのかと思ったら、終盤、スクールで教育されている人間はすべてクローンで、失敗を繰り返しながら成長を模索していくシステムになっているなんて、ぞっとするほどの設定でした。 戒めから解かれたヘラルドとルーシーに希望をつかんでほしいと思えるようなラストでした。 現代でも時代物でもゲームのような中世ヨーロッパでもない、読者に馴染みのない世界を描くのに、ヘラルドの一人称が適しているのかどうか……ヘラルドにとってこの世界は当たり前なので、わざわざ解説しないから案内人にならない。予備知識のない読者は作品世界に入っていきにくいです。 描写も少なくてイメージが描きにくかったです。たとえばスクールがどんな建物なのか何階建てなのかもわからない。広さもわからない。ヘラルドと仲間たちが課題をする部屋も教室をイメージするとたった5人では広すぎるし。ルーシーの箱舟も大きさがわからず、グジラぐらいの大きさで何百人も収容できるものだと思って読み進めていたらどうも違うようで。 全体的に描写を多くすれば、作者の創った世界を読者と共有できるのではと思いました。 オリジナルの未来世界を楽しめました。ありがとうございました。
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ありがとうございます! 読んでいただいたうえに感想までいただけるとは思いませんでした! この作品は、確か初めてWebに上げた小説です。赤羽さんの指摘していただいた部分を書き直して再UPしてみるのもいいかもしれないと思いました。 読んでいただき、感謝です!
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