佐々木経久

仏教系❌SFの異色のコラボ
主人公は僧侶になりたい悩める青年ミロクくんです。ミロクくんは過去。今の日本社会で多くの人が抱えているであろう苦悩を人並み以上に経験しています。 仏教と仏さまというのは我々日本人の深層心理の中に根付いているものだと思います。 最初仏教とタイムトラベルという文字を見たときに「新しいな」と思いました。宗教とSFは全く正反対のジャンルであると思っていたからです。 しかしこの小説ではミロクくんの信仰する観音様にスポットライトが当てられています。(お釈迦様も出てきますが)観音様は非母観音という日本画にも見られるように非常に慈悲の心を持った女性性の強い仏様であります。その観音様が一人の悩み多き青年に目をつけ、タイムスリップをさせるというのはとても説得力の設定であると思います。 ミロクくんが当初タイムスリップする目的は「女の子にモテるため」つまり煩悩です。しかしタイムスリップした後に元の世界に戻れないことを知り自分の愚かさ気付きます。一人の普通の少年が小さな「悟り」を得るまでの過程が見事に表現されており、仏教的な哲学を強く感じました。 禅などの仏教思想が好きで、歴史も好きな自分にとってはドンピシャの作品でした。本棚登録第一号になれて良かったですw
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