乃上さり

若者の渇望感を感じた短編とは思えない作品でした
 短編なのに長い純文学作品を読んだような余韻が残る作品でした。無駄なシーンがなく、しっかり練って書かれているからでしょうか。  たらこ飴さんが若い頃に書いた作品を自ら書き直したものとのことですが、若い頃のものとは違う、経験を積んだ今だからこそ書ける深い作品になっているのだと思います。  登場する大学生の名前がカタカナ表記になっており、私は全体的に乾いた印象を受け、そこに若者の中にあるどうしようもない渇望感を感じました。  また私は常々、たらこ飴さんは短歌もやっておられて言葉をとても大事にされているなと思っているのですが、その丁寧な情景描写で初冬の落ち着いた大学キャンパス、常夏の雑然としたフィリピンの空気感を身近に感じることができ物語に没入できました。  草野先生への想い、アサギとイツキのこと、続きを読みたい気もしますが、ここで終わったその余韻も好きです。
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乃上さり様 またまた素敵な感想をありがとうございます! 渇望感・・・・・・ものすごく的確な表現です。 学生時代に絶えず感じていたけれと言葉にできずにいた感情が、知らず知らずのうちに作品の中に現れていたのかもしれません💡 抽象的にしか描けていなかった部分を丁寧に読み取っていただき、本当にうれしいです^^ 実は私は情景描写に全く自信がなく、書いた当時風景に関する描写はほとんどありませんでした。 大学の風景やフィリピンの様子も、今回書き直すにあたり新たに追加したものです。 自分の弱点と感じていた部分を褒めていただいたことで、自信がつきました。 同時に、苦手と感じることをあえてやってみること
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