思春期の淡くも酸いた微熱をも
 アイルランドの有名な童話小説「幸福な王子」を大胆にオマージュした、思春期のプラトニックヒューマンドラマ作品。  その年代の男子特有の興味、女子に対する妄想・理想・噂話、その裏側に陰のようにある真実。それらが溶け込まない程の混ざり合い方で、物語は終始未熟さと無力感を絶妙に描いてある作りでした。それがどうにも切なくなるのは、終盤の描き方の為でしょう。喉元を締められたように言葉にならない気持ちが湧き、ちょっと思考停止するような感覚。  オマージュ元は博愛と自己犠牲をテーマにした不憫さ際立つお話ではありますが、このオマージュ作品はそこに匂い立つような青春の淡くも酸いた感じも加わっており、流れた未来にも感じる焦燥感こそが現代の御伽話ではないのかな、等と考えさせられました。  これは名作。素晴らしい短編小説でした。  ありがとうございました。
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ありがとうございます😭 頑張った甲斐があった! 素敵なレビュー、何度も読み返します😖
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