空松かじき

身勝手の先にあるのは幸福か後悔か
 植物や昆虫の生態が語られ、そこにフィクションがうまく混じりあい、本当にこういうことが起こりそうだな、と想像させられ、おもしろかった。  この作品を読んでいると、人類は植物に対して接ぎ木や品種改良をずいぶんしてきたのだなあ、と思う。人間って身勝手だなあ、と改めて感じた。まあ、そのおかげでおいし果物を食べたり、美しい花を観賞できたりしているわけだけど。  曽祖父の不老不死のクローンが主人公に渡した『ミミック』とニックネームがつけられた生命体。真似っこが好き、というこの生命体が真似た『それ』は果たして主人公に幸福をもたらすのかそれとも後悔させるのか? すべては語られていないけれど、ミミックというRPGゲームでよく見る名前のせいだろうか、怖いことが起こる予感を覚えさせる。  最後にこれは推測だが、もしこの曽祖父のクローンがミミックだとしたら、『不如帰の卵を育む』というタイトルに隠された意味が見え隠れしてゾワリとしたところで、終わりにしたいと思う(不如帰は自ら卵を育てない修正がある)。
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空松かじきさんへ 今晩は。 お忙しい中、感想レビューを有り難うございます。 流石に鋭いですね。はっきりとはさせていませんが、クローンがミミックだと考えて貰えて嬉しいです。 桜と言うよりは植物での小ネタを考えていたら、鳥の托卵も使えるかと思い出して見ました。 いつも有り難うございます。
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