続セ廻

無意識に人は支え合って生きる
舞台は未来の地球。 王も勇者も魔王も居ないが、人間の数は激減した。文明は壊滅的で、文化と、無力な人たちが一人ひとり生きている。 未来でも人類に死は逃れようもなく、その原因は様々。限られた資源を有効に使い、分け合い、生きてやがて死ぬ。感想を書いていて、復興しない被災地のような世界だなと書いていて思ったが、そこに根を張る人々の生きる力が、数人の旅立つ人々と、現代から時空を超えてやって来てしまった少年レオンを通して描かれる。 死に向き合い続けるシスターアンと、少年よりも前に現代から飛ばされてきた青年スバル。 未来だけれど彼らの生活は意外とアナログで、アンとスバルは酒の代わりに煙草の味を共有し、礼拝堂にはピアノの音と生徒のオバちゃんsの声が響く。 スバルとアンの過去はあまり描かれないが、某かの喪失を経て今があることは想像に難くない。 けれど物語の空気は全体を通して明るい。 生命賛歌。 人間らしく生きるとはどういうことであろうか。 たとえ特別な力がなく、小さく、弱く、ハンデを背負っていても、目の前の他者に真摯に向き合う事が人を支えることになる。 そんな登場人物たちの姿勢に救われる気持ちで読み終えた。
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