Mugi

■突発的短文  酒が好きだった。ビールの琥珀色の泡立ち、ワインの透き通ったルビー色、ウィスキーをロックで飲んだときの喉焼け。カクテルは好きではなかった。甘ったるいお酒はあまり好きではない。レッドアイをたまにバーで嗜む程度だった。  けれどそれらも絶った。軽度のアルコール依存症になり、やめたのだ。どうしても適度に飲む、ということが出来なかった。  次にはまったのがお茶だった。緑茶、煎茶、玉露、ほうじ茶、玄米茶…。どれも芳ばしい匂いがして、美味しかった。夏は水出しで冷茶で、夏は熱々をいただくのが幸せだった。けれど母からカフェイン中毒を指摘され、たしかに一日に十杯も二十杯も飲んでいた。あれこれ考えた末、麦茶とルイボスティーに変えて、事なきを得た。どうしてこう限度が守れないのだろう。  次にハマったのが読書だった。朝から晩まで文字を追った。文字を読んでると不思議と心が落ち着いた。大量の本を買い込み、漁るわたしに家族はまたかとため息をついた。どこまでいっても依存体質だった。そのうちに眼球が極度に疲れて、医者から活字中毒を疑われて、やはり読書もやめざるを得なくなった。  次は何にハマろうかとほくほくしている。

この投稿はコメントを受け付けていません