夢咲 咲子

一人の人生を追体験するような、壮大なファンタジーでした。
大長編でしたので、毎日少しずつ楽しみに読ませていただきました。 近年“異世界転生ファンタジー”は、結構テンプレートが出来上がってしまっていると思うのですが…… 本作『ネガティブステータス【短命】を選んだ私の人生。』は、一風も二風も違うオリジナリティ溢れる作品でした。 転生ではあるのですが、主人公はまるっきり新たな人生を歩んでいきます。 沢山の人々と出会い、弱さを自覚し、強くなっていく。 愛し愛される過程……そのすべてに確かな質量を感じました。 登場人物たちは個性豊かで、それぞれの人間関係の描き方も丁寧。 特に幼馴染のソニア、姉妹関係を結ぶミラ。 彼女たちの描き方が素晴らしかったです。 ソニアは時に嫉妬したりもした、いい親友、相棒。 ミラは姉妹以上に特別な、唯一無二の存在になっていく感じがとても良かったです。 男性陣も魅力的。主人公のリリィに想いを寄せる男たちのわちゃわちゃした感じにはニヤニヤしました。 戦闘シーンも、戦術について思考を巡らせるシーンも、カッコいい。 しっかり設定が練られているのが分かります。 そして何より、転生という設定が活きていて感動しました。 転生である理由、異世界の存在とは何か?まで考え抜かれています。 少し難しい部分もありましたが、それはそれで解釈の余地があり 考えさせられるいい作品でした。 作品紹介にハッピーエンドとあったのですが、それでもハラハラしながら迎えたラスト。本当に心が湧きました。 読み応えのある作品を、有難うございました。
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行間に指先を這わせたとき、心地よいと感じていただけたなら、これ以上に喜ばしい事はありません。最後までお付き合いいただけたことに感謝を。そして細やかなコメント、いいねの数々、ありがとうございました。
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