甘酸っぱい青春小説。そしてここにも蜜原カラー  蜜原みな子青春文学傑作選解説
 蜜原氏は特に失礼な評価ではないと思うが、「普通の小説」は書かない作家である。舞台設定、キャラクター設定、文章など、ありきたりのテーマで書いた場合でも、凡百の小説と比べてみると、何かが違う。  要するにこれが「蜜原ワールド」の魅力であり、読者が蜜原氏の作品を選ぶ理由はそこにあるのだろうと思う。  今回の作品は熱愛ストーリーで、読んでいて心が熱く甘酸っぱくなる内容だった。予定調和と云われても、この甘酸っぱさは堪らない。  最後まで気分が高揚したまま読み終えたので、この作品は最近読み終えた作品の中でも心に残る作品のひとつになるだろうと思う。  そしてこの作品の秀逸さは、ありきたりになりがちな青春ロマンスに「現代」という新しい設定を取り込んだことにあるのかと思う。  ヒロインの出会った少年がパソコンの達人という設定は最近、ラノベなどにもあちこちに現れてきたが、今の時代を反映しているため、新しさを強く感じる。  一方、ヒロインが彼のためにお弁当をつくってあげるというのは、半世紀くらい続く青春ロマンスの展開ではないか。  ところがそこに今、多くの日本人が注目するヘルシーに対する考察が入ってくると、俄然、お弁当という設定に現代感が現れてくる。  また進路についての悩みや苦しみというのは、以前より学生たちにとって切実なも問題となっており、マスコミでも取り上げられることが多い。  この作品が描くのは、予定調和の甘酸っぱい熱愛ストーリーである。  だがそこに「現代の文化、風俗」が組み合わさるとき、とびっきり面白く新しい「青春ロマンス」が生れたと思う。  具体的な将来設計を早くもヒロインが考えて高校卒業後の進路を決めたというラストにも、強くそれを感じた。  蜜原氏の「青春小説傑作選」の巻頭を飾るのに相応しい作品かと思う。  
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倉橋さん、いつもわたしが書きたかったことを的確に見抜いてくださる感想ありがとうございます! 今、「凍結」といいながらなぜ習作を書いているのかというと、皆様からの突っ込みを楽しみにしているのですね。もちろん、作品のアラについて、かなり勉強になっているのです。そういうのをもっといただいてから、正式に「凍結解除」となるかと思います。 パソコンのスキル持ちとお弁当の栄養やカロリー計算など、もともとベタな予定調和な作品に少し奥行きやスパイスを加えられたら……と思っておりました。 そして、倉橋さんには冒頭の警察官のやりとりについて、かなり助かりました! その意味でも本作は倉橋さんに捧ぐべき作品です。
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 いえ、本当は最初のスタイルの方が抜群に良かったのですが、何かのコンテストに出されたときのことを考えました。恋愛や青春のコンテストに出されたらと心から思っていますよ。
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