吾妻栄子

https://estar.jp/novels/26148658 「昼、まだなら好きなもん奢るよ」  視線の先にはファストフードやエスニック料理のテナントの入った雑居ビルがあった。  こいつは俺に食事を奢ってくれようとしているのだ。  それで自分のしたことを少しでも取り戻そうと、俺の中に積もっている不信や憎しみを和らげようとしている。  だが、この再会は手短に終わらせなければならない。  サッと日蔭に入った所でサンダルの足が止まった。 「あのさ」  息を吸って一気に吐き出す。 「妊娠してた」
5件

この投稿に対するコメントはありません