追求と言うものは
追求と研究はよく似ている。 どちらにも共通することは、自分が追い求める事に対する、飽くなき探究心だ。 でも、決定的に違うのは、そこに答えがあるのかどうかだと思う。 研究は物事を突き詰めていく中で、それが正しかったのかどうかと言う結果が、必ず証明される。 対して追求と言うのは、物事を突き詰めた先に答えがないと言う事だろう。 もし追求することに答えがあるとすれば、それは自分自身だと言うことになるのではないだろうか。 この主人公は、自分自身の美を追求する中で、美に対する意識は歪んで行ったかもしれないが、美に対する根本は変わっていなかったのではないかと思っている。 だから自分の中にある大元の美の部分を、最終的に女を見る事で受け入れられたのではないかと思うと、すっと心に落ち着くものがある。 この作品は、美を通じて物語を表現しているが、その対象は何にでも置き換える事が出来るだろう。 例えば金。 恋、性、物欲などなど。 自分が何かを追求しようと思ったとき、この物語は自分にブレーキをかけることが出来る良い教科書になる気がしました。
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