まさりみか

シリーズ第2弾。 諦めていただけに飛火夏虫となった大介君、嬉しい登場でした。 緩やかで楽しい青春の始まりと悩み、そして巻き込まれる事件。   立場、主張、それぞれの守りたいものちょっとした違いによって繰り返されてきた人類の戦いの歴史。 それはこの飛火夏虫の世界でも無縁ではなく、悩みながら影響しあいながら自分の正義、選ぶ道を見つけていく。 読者もそれぞれの考えで自分なりの正義を考えさせられる。 それに答えなんて見つからないのかもしれないし、そもそも正解なんてないのかもしれない。 それでも自分の正解を模索するそれぞれの登場人物達が愛おしい。 敵も味方もそこにいるのは人間なんだってことを実感させてくれる物語でした。   後書きにあるようにラストまで理不尽かもしれません。 しかし理不尽でありながら優しい世界。 いろいろなものを背負った彼らにとって読者が予想した以上の優しいラストだったと思います。 理不尽だけどある意味納得のいくいいラストでした。   そして読み切りを意識されてた1巻と違い、シリーズ化を前提に書かれた本巻、1冊1冊のテーマとは別にシリーズ全体を貫く方向性、キャラの立ち位置や布石がばっちり練り込まれ益々期待させてくれます。 実は最初本巻も読みきりだと思っていたとき、更新を読みながらこの広げ方、閉じるのは難しいだろうって余計なお世話ながら内心危惧していました。 しかしこの巻の伏線になるのかしら?……と思ってたところがシリーズの布石として埋め込まれた芽だったことに気づいた時感動しました。 次へと続く物語の種を埋めながら、本作品としてはひとつの完成された物語として楽しめる。 純粋に物語に入って話を楽しむと同時に黒助さんの物語の作り手としての技量に深く感動して本を閉じることができました。 独立した2巻としての楽しみと次巻に続く楽しみ、素敵な一冊でした。   蛇足ですが、大介君以外の友人達の特性を生かした戦い方笑いながら感心していました。 彼らの活躍もまた楽しみにしています!
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