リミル

🧡いい夫婦の日(11/22) はい、と帰宅したレグルシュに四角い白の箱を渡された。妙に嵩高いそれは洋菓子店のものだった。 「どうしたの、これ?」 「どうしたって。ケーキを買ってきたんだ」 いつもは三人分のケーキ。今日は4号くらいの小さなホールケーキだった。ストロベリー色のケーキの上には、苺や花弁型のチョコレートがのっている。 「今日って何かの記念日だっけ?」 誰かの誕生日でもないし、本当に心当たりがなかった。 「俺達の記念日……というわけではないが。……本当に分からないのか」 「え? ご、ごめんなさい」 千歳は「記念日……」と唱えた。番になった日でも、結婚記念日でもない。レグルシュた答えを求めるも、分からないなら別にいいと素っ気ない態度を取られてしまう。 千歳がケーキに合う紅茶を選び、蒸らしていると、ふいにテレビからいい夫婦の日だとコメンテーターが話題を振っていた。11月22日だからいい夫婦。 「今日っていい夫婦の日なんだ。素敵な語呂合わせだね」 「……ああ、そうだな」 千歳とレグルシュはソファで肩を並べながら、テレビの映像を眺める。街頭でインタビューを受ける新婚さんらしきカップルが、気恥ずかしそうに交際歴や馴れ初めなんかを話していた。 「いいな。幸せそう」 お前は、と続く言葉は、お互いの唇の合間に消えた。甘酸っぱい味が、途端に甘さ一色になる。 「ん、レグ」 キスの時間は長く、千歳はレグルシュの胸元のシャツを握った。 「千歳には、俺なりに気持ちを伝えているんだが」 「え? う、うん」 奥歯に物が詰まったような話し方をする。レグルシュは帰ってきてからずっとこの調子だ。 「今日はいい夫婦の日だろう」 「うん……。……あ」 「……今頃か」 レグルシュは晴れたような笑顔でふっと笑った。照れくささを隠すように、千歳の肩へ火照った頬を寄せる。金色の柔らかい髪に指を通しながら、二人きりの甘い時間に浸った。 fin.
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いい夫婦の日にケーキを買ってきてくれるレグが素敵です💓 千歳のホワホワした感じも照れてるレグも可愛い〜(*´ω`*) 二人は最高の〝いい夫婦〟ですね♡
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読んでいただきありがとうございます💕 記念日などはレグは気にしているのですが、千歳はいつも通りですね笑
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