朱村びすりん

平凡だったある一人の少女が、大切な人を奪われたことによって復讐していく悲劇の作品
読了しました。 本当に本当に本当に、最初から最後まで胸が苦しくなるお話でした。 五味という、一人の人間のせいで起こった事件。 被害者である洋平の恋人・美咲が復讐のために、彼らにしたこと。絶対に許されることではないですし、相応のバツを受けるべきことだとは思います。 それでも、やはりどうしても彼女を責めることできないと思いました。最後まで読んでも、美咲を悪者にはできませんでした。 美咲が犯した内容は、読んでいる最中は顔を顰めてしまうほど凄惨で怖くて、狂気に満ちたものでしたが……。 それでも、五味たちが洋平を殺めなければこんなことにはなっていなかったはず。普通の女の子として、洋平を大事に想う、ごく普通の幸せを掴んでいたはずなのにって。 死後、魂となって美咲を見守っていた洋平の想いがよく伝わってきました。「死人に口なし」とは言いますが、亡くなってそこにはいないはずの洋平の考えが、こうも上手く書けるものなのか、と感心してしまいましたよ! 世の中には悲しい事件が毎日のように起こってしまいますが、現実でも美咲のように加害者でありながら、ある意味被害者でもある人がいるのだろうな、とこの物語を読んでいて思いました。一人でも彼女みたいな人が減ってほしい、一人でも五味のような最悪な人間がいなくなってほしい、強く思いました。 そして、色んな人に好かれる好少年、洋平のような人がこんな理不尽なことで被害に遭ってほしくないとも考えました(今作品でも、別作品でも、洋平が一番悲しい立場なのが切ない……!! たまには幸せになってくれw) とても考えさせられるお話をありがとうございました。 一布さんの作品は、どれも続きが気になって仕方がなくなるので、次回作も楽しみにしています!!
1件・1件
感想いただきありがとうございます!  少しフライングで、明日投稿予定の「おまけ・2」に関わる内容を書きますが。  読者の方が、美咲が五味を殺したとき「ざまぁ」とか「すっきり」という感想を抱かないことを意識しました。  大切な人を奪われて、悲しみだけではなく、怒りや憎しみに囚われてしまうのは人として当然。できれば復讐したいと思うのは必然だと思います。  ただ、現行の法律ではそれは許されない。  では、どうやったら、大切な人を奪われた人の心は救われるのか。  本作のテーマとは違うところで、復讐という主題にはこんな意図を書き記したつもりです。  そのため、美咲の心の痛みが伝わりやすいよ
1件

/1ページ

1件