小野原 笙

魅力的な「魔」が彩る、濃厚な和風ファンタジー
 可愛いタイトルからは想像もつかない、骨太な和風ファンタジー。  "大和帝国"という架空の国で、文明開化な"明綸"という架空の時代に、特殊能力を持つ人々、普通の人々、魔の者、聖の者が入り混じりつつ、人の世と魔の世を跨いだ世界戦争と恋模様が描かれた大作。  字数以上に中身の濃い、フルコース料理のような読み応えのある作品です。  軸は主役二人の恋の物語なのですが、その語り部は悪魔、斎門匠ことサイモン・タッカー。  サイモンは魅力的な曲者で、主役二人を振り回します。日常の日々の中、次々と登場する魅力的な魔の者達と、人の世のすぐ側に存在するかのように、鮮やかに描かれる魔の社会。悪魔を案内役として、舞台も日本、西洋、中央アジアと、どんどん変わります。  果たして二人は魔の者達から、自由を取り戻せるのか?  ハッピーエンドに辿り着くまで、先の読めない展開にハラハラさせられっぱなし。作中一の美形なヒーローが、その美しさ故に不憫な目に合っています。でも、翻弄されながらも、心がぶれない。ヒロインは生まれつきの特殊能力者なのですが、健気で芯が強い。  語り口は柔らかで読みやすいのですが、世界観と特殊設定が多重構造となっているので、集中できる環境を整えて挑むことをお勧めします。  未だ読んだことのない濃厚な和風ファンタジーを好む読者の方へ。翻弄される心地よさをお楽しみ下さい。  ***  suekoneko様、お邪魔します。  レビューを送らせていただきたくて、作品を周回させていただきました。「どこから目線?」な紹介文で、すみません。敢えて名乗るなら「リピーター目線」です……😅。  本レビューが初見の読者の方の参考になれれば幸いです。
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小野原笙さま こんなに長文の感想をいただけるとは思いもしませんでした。 何度も何度も読み返してしまいました。作家(を自称するのもおこがましいですが)冥利に尽きます。 感想を書いてくださる前に、拙作を読みなおしていただいたなんて……しみじみ、嬉しいです。 素敵な推薦文は、作者だけでなく、拙作のキャラクターたちへの「栄養補給」となりました。彦乃も穂波も斎門も他のキャラたちも、キラキラ✨っと輝き、動き始めたようです。 心からのお礼を申しあげます。 suekoneko拝
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