suekoneko

「納得の死」は自分で手に入れよう! 死んでも前向きに!
大学生の一之瀬未那(=ミナ)は事故死して、成仏する前に道に迷ってしまいます。誰かから声をかけられ、気がつくと、美しい少女に転生して――いませんでした! 美形の少女は巫女のルーナ。死者の霊を自分の身体に下ろすことができます。その能力ゆえに、領主の館の敷地内にある塔に幽閉されています。 巫女ルーナの身体には、騎士ベルナルドと幼いリアム坊やという先住者がいて、ルーナの身体のなかでミナと彼らとの共同生活が始まります。 ルーナ本人、ミナ、ベルナルド、リアム坊や(←ほとんど寝ている)の四人は、交代でルーナの身体の「表」に出て、ルーナの綱渡りの日々を助けます。多重人格者の人格交代に似ているかもしれません。 ミナは、ちょっとしたはずみで、ルーナの身体からするっと離れてしまいます。どうせなら周囲を偵察しよう、と考えます。幽霊なんだもの、扉も壁もすーっと通り抜けられるはず――はず、ですよね。 あれ? ちょっと予想外……てな展開もありますが、ルーナから離れることは可能――でもミナは「迷えるボッチ(悲しき浮遊霊)」に戻るだけだと気づきます。それは、騎士ベルナルドとリアム坊やにも言えることでした。 ルーナを塔からの脱出させる。それを遂行するしかない。ミナとベルナルドは決意します。リアム坊やもいっしょに行動しようね! ここで読者は、この作品のダブルミーニングに気づかされるはずです。ルーナは非力で受け身なだけ? いいえ。塔から脱出するために、賢い迷い人たち(ミナたち)を選んで、声をかけたわけです。むむむ! さあ、どうやって高い塔のてっぺんから地上に下りたらいいのでしょう? 塔から脱出するのはルーナ「一人」です。事前にルーナを変装させておく必要もありますね。追手の目をくらませなくてはなりません。一人(ルーナ)と見えない三人の逃避行は、成功するでしょうか?  ラスト近く、筆者はかなり泣かされてしまいました。 先ず、幼いリアム坊やとのお別れ。祝福すべきことなんだけど、悲しい。悲しいんだけど、祝福してあげたい、でもいろいろ考えると、やっぱり泣けてしまうんです💦💦💦 細部の設定に手抜きがなく、ロジックの破綻がありません。 『ハウルの動く城』、『ダークホルムの闇の君』などの作者ダイアナ・ウィン・ジョーンズなら、きっとこう評するでしょう。 「こういうの、大好物よ!」
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suekoneko様 ゴロンゴロンしながら照れています。suekoneko様、ありがとうございます!  (※脳内「只今『自重』が家出しました! 戻ってこい!」「メーデー!メーデー!『創作意欲』も小躍りしています!」状態) 作者がまとめられなかった「あらすじ」を、素敵な推薦文で紹介していただきました。作品のアピールポイントが余すことなくギュッと濃縮されています。 「感想・レビュー」欄にお目を止めて下さった方へ。 興味を持っていただけたら嬉しいです。 小野原拝
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